SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-8

  
  
「いたたたたた……なんで今日はこんなことばかりなんだ」
 俺は痛む腰をさすりながら、立ち上がった。
 どす。
 瞬間、また突っ伏した。
「…………か〜が〜り〜」
「ごめん。でも言うだろ『二度あることは三度ある』って」
「プラントでは言わん!!」
 俺は上に乗ったカガリを払いながら立ち上がった。暗いのでよく見えないが、ひっくり返ったらしいカガリはブーブー言っている。こんな奴に、二度と敬語など使うものか、この馬鹿女!
「しかし、真っ暗だなぁここ」
 もう無視か!カガリは俺の側に立つと、周りを見回しているらしかった。上を見上げてみるが、先ほど落ちてきたはずの戸は見えない。ピッタリとしまっているようだ。暗闇に目が慣れてきても、それは変わらなかった。
「これは別の出口を探さなければならないな」
 俺は辺りを見回した。向こうの壁も天井も見えないくらい、かなり広い空間だ。壁は外の崖を触った時と同じような感じがする。
イザークー、ここに扉があるぞー」
 かなり離れた場所から声がする。アイツ、いつの間にあんな場所へ移動したんだ。何があるか分からないのに、勝手に移動するな!ナチュラルの癖に何があっても知らないぞ!
「危ないだろう!」
「何が」
「足元に何かあるかも知れないだろうが!」
「でもなかったからいいだろ」
「お前な……」
「それよりもほら、扉」
 また無視か!怒る俺を余所に、カガリは目の前を指差した。そこには確かに扉がある。鉄製の飾り気などまるでない扉だ。だが見かけで判断してはいけない。入り口が入り口だったのだ。何か罠が仕掛けられているかもしれな
「入ってみよう」
いと思っている矢先に、カガリが目の前で扉を開けて中に入った。
「おい!」
 怒りながら俺も中に入った。すると、急に違和感を感じた。そこは俺が慣れ親しんだ雰囲気と同じ場所、まるで軍の施設のような無機質で、人工的で実用一辺倒な通路だった。カガリはまるで、知っている場所であるかのようにまっすぐ歩いていくと、ある場所で壁を触った。すると、天井の明かりがついた。カガリの前にはスイッチがあった。
「お前、ここを知っているのか?」
 俺はカガリの側へ行き、声をかけた。するとカガリは不思議そうな顔をした。
「いや?この島の地下ドックは何度か来た事あるけど、こんな場所は知らない」
「でも、まるで来た事があるようだ。今もまっすぐこのスイッチへ向かっていたぞ」
「そうか?」
「ああ。扉もすぐ見つけたしな」
「そういえば……何となくココにスイッチがある気がしたんだ。さっきの扉もそうだったし。それに」
「それに?」
 カガリは考え込むように斜め上を見た。
「この場所……ううん、祠もレリーフも遺跡の抜け道も、そして地下ドックも、初めて見つけたはずなのに、そこにあることを知っていたような……見たことがあるような、そんな感じが……」
 そういうと、カガリは不安そうな顔をした。
「なんで、そう思うんだ、私……」
 俺は両腕をつかまれたが、何もいえなかった。そんな経験などしたことがない俺に、何がいえるのだ。カガリは、しばらく腕をつかんでいたが、あきらめたかのように手を離した。そして、辺りを見回した。
「……そうだ、ここも知っている気がするんだ。そう、あっちに歩いた気が……」
 そう呟きながら、フラフラと通路を進みだした。
「お、おい」
 俺が声をかけても、カガリは止まらず歩き続けた。仕方なく、俺はカガリの後を追うことにした。
  
  
[to be continue...]