SEED SAGA LINKAGE

SEED SAGA LINKAGE PHASE-02-A01

「しんえん……かぐや?」 それは聞いたことのない名前だった。俺だけではなく、目の前にいる兵士達も同じらしく、困惑した顔だった。 「ホムラ様、それは一体誰ですか?」 「あの方はカガリ様ですよ?」 ザワザワと騒ぐ兵士達から飛び出す質には答えず、俺達二人…

GUNDAM SEED SAGA LINKAGE prologue

GUNDAM SEED SAGA LINKAGE prologue 男はドアをそっと閉めた。暗い部屋の中、ベットの上に人影が横たわっている。男が近寄ってみると、愛しい人が涙の跡をつけながら、寝息を立てていた。男は妻の頬にそっと指をそえる。よほど疲れたのか、身じろぎすらしな…

設定:MS「ムラマサ」

MS「ムラマサ」 型式番号:MVF-M01C 全高:17.82m(MS時) 重量:48.93t 武装:72式改高エネルギービーム砲 74式ミラージュコロイド搭載型空対空ミサイル「ゲンム」×4 72式改ビームライフル「イカズチ」 実体剣「レンゲ」×2 打突・投擲剣「トンボギリ」(ビ…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-14

「ハァハァハァハァ……何故だ……」 俺は息を切らせながら、暗闇の中をひたすら歩いていた。 「何故俺は……また山を登っているんだ!」 勢いよく呟いても(本当は絶叫したいのだが大声が出せない為、ストレスがたまる)、虚しさが広がっていくだけだった。 ここ…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-13

「……はぁ」 俺は壁の側で溜息をついていた。 本日は二十四日。ここはイザナミシティのクリスマスパーティの会場だ。 着てきたスーツは今日中にクリーニングが仕上がるはずもなく、仕方なく新しい黒のスーツを買って着ている。(本当はキラが貸すと言ったのだ…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-12

キラやラクス様が、子供達を寝かす為に子供部屋へ入っていったとき、カガリは俺に外へ出ようと誘い出した。 出入り口には、オーブ兵が立っている。どうやらカガリが脱走しないように見張っているらしい。ついてこようとする彼を、そこへ行くだけだ、と言いな…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-11

窓の外はすでに暗かった。 「……ん」 ベットの上に寝ているカガリが、声を上げた。キラから借りた服に着替えて(カガリもラクス様の服を着ている)、隅で椅子に座って借りた本を読んでいた俺は、側によった。 カガリは何度か瞬きした後、ボーっとした顔でこち…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-10

あの後、俺は通路を走り回り、扉と言う扉を開けた。扉は全て、使われていない個室や倉庫、会議室らしき広い部屋などだったが、外に続く扉はなかった。ただ、一つを除いて。 走り回ったせいか、それともカガリが重いせいか、俺は汗だくになっていた。最後の部…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-9

カガリは通路の行き止まり、一つの扉の前で立ち止まっていた。ここへ来る途中、いくつも通り過ぎた、無機質な扉だ。ただ一箇所、カガリの目線の先に、何かをえぐって取り外したような後がある限りは。その前でじっとしているカガリに、俺は声をかけた。 「お…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-8

「いたたたたた……なんで今日はこんなことばかりなんだ」 俺は痛む腰をさすりながら、立ち上がった。 どす。 瞬間、また突っ伏した。 「…………か〜が〜り〜」 「ごめん。でも言うだろ『二度あることは三度ある』って」 「プラントでは言わん!!」 俺は上に乗った…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-7

「結婚!?」 想像していなかった単語が口から発せられ、俺は驚いた。アスランが聞いたら心臓を止めるな。そんな俺をよそに、カガリは言葉を続ける。 「正式にはお見合いだ。明日のパーティがそれでな」 「……はぁ!?」 「お前、知らなかったのか?『仕事も国籍…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-6

胸部と腹部に衝撃があった後、ドサッ、という物音と共に俺の背中と腰と頭部に強烈な痛みが走った。つまり俺は上から降ってきたモノに押し倒された挙句、後ろを強かに打ったのだ。その原因は俺の額に当たったのか、頭を抑えて倒れている俺の上に乗り上げなが…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-5

ガサガサガサガサガサ、ドサズササササー、ドサ。 「……っつ〜っ」 背中が木にぶつかり、下に落ちていた体が止まった。痛む背中に顔をしかめつつ、土だらけになったズボンをはたきながら、俺は再び前のめりになった。 「これの……何処が道だ!」 地図に示され…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-4

「カガリ様とは、どういう人なのだ?」 お茶が終わった後、ラクス様は後片付けをしにキッチンへ、マルキオ導師は書斎へ向かわれた。俺とキラはというと、子供達から少し離れた場所で紙の鎖や花を作っている。(子供達はなにやら大きな紙に絵や文字を描いてい…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-3

「イザークさん、いらっしゃいませ」 ラクス様は美しく柔らかい微笑みをたたえて扉の前に佇んでいらっしゃた。 ついこの間プラントでお目にかかったが、その時は良く言えば威厳ある、悪く言えば硬い表情でいらっしゃった。俺はいつもとは違う彼女に緊張し、…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-2

「……キラ・ヤマト。先ほど言っていた野暮用とはなんだ」 俺は、マルキオ導師所有のクルーザーを運転するキラに、ボソリと聞いた。 「ーーーえー、なんですかー何か言いましたかーー?」 しかし前方で運転に集中しているキラには、聞き取れなかったらしい。仕…

SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-1

C.E.74.12.23、オーブ首長国連邦ヤヒロ国際宇宙空港、到着ロビー。明日のクリスマスを控え、いつもより多くの人々が行きかう中、俺はいつものように早足で歩いていた。キリッとしながらも何処か幼さを残した美しい顔、スラリとした体、アイスブルーの瞳、そ…

西暦2025年1月、日本。国立宇宙科学大学南鳥島研究所。大きな部屋の中に前方の壁にある大型スクリーンを筆頭に何百というディスプレイが並び、そのそれぞれが別々の情報を映し出している。ディスプレイの間をぬって多くの人が行き来したり、映し出される情報…