SEED SAGA LINKAGE PHASE-01-10

  
  
 あの後、俺は通路を走り回り、扉と言う扉を開けた。扉は全て、使われていない個室や倉庫、会議室らしき広い部屋などだったが、外に続く扉はなかった。ただ、一つを除いて。
 走り回ったせいか、それともカガリが重いせいか、俺は汗だくになっていた。最後の部屋から出てきて、俺はカガリの倒れた部屋とは逆の通路の奥の壁の前でへたり込む。まわりでホコリがふわりと舞い上がる
「……はぁはぁはぁはぁはぁ……ゴホゴホ……はぁ」
 少し落ち着いてきた俺は、目の前の壁を見上げる。そこには扉『らしき』ものがあった。『らしき』というのは、それにはノブや取っ手がついていないからだ。前にはあったらしいのだが、どうやら引きはがして何かで埋めてしまったらしく、取っ掛かりがない。扉自体も周りがビッチリと溶接されており、手で押してもびくともしない。
 ……これは、必死で体当たりしなくては駄目か?
 ふと、膝の上に乗っているカガリをみる。まだ、気を失っており、顔は青く荒い息のままだ。俺はカガリを廊下の端に置くと、5メートルほど後退した。そして、扉に向って走り、ぶつかった。
 ドン、という音はするが、びくともしない。肩が痛むだけだ。だが、病人がいるのだ。ここで休むわけにはいかない。俺は何度もぶつかった。そのうち肩から血が出てくるのが分かったが、そのまま続けていると、ドアがへこみ、パキという音がした。上を見ると、一箇所だけ、溶接部分にヒビがはいっている。いける、そう思った俺は、また何度もぶつかった。
 何十回、いや、何百回だと思う。最後の気力を振り絞って、ドン、とぶつかる。すると、バキバキという音と共に、少し曲がった扉が開いた。真ん中には俺の血とヘコミがついている。左肩はヒビが入っているかもしれない。激痛が走り、動かすのも困難だ。だが、右は比較的動く。俺は痛みでくらむ目をこらえながら、カガリを右肩でささえ、奥に進んだ。
  
 閉じられた扉の向こうは、アスランから聞いていた地下の秘密ドックだった。何か、大きなものを整備する場所(後から聞いた話ではMS用のドッグだったらしい)に出た俺は、なんとか無線のある部屋を探し出し、助けに来た軍人達によって病室へと担ぎこまれる羽目になった。
  
  
[to be continue...]